By Christina Dodd from AVON Books
舞台はナポレオン戦争時代のピレネー山脈の地方 イギリス娘のエバンジェリン・スコフィールドは、孤児だった自分を引き取った雇い主の女学者、レオナが行方不明になり、遺言によりその遺産をついだのだった。一時の狂気から、彼女は夢の一時を過ごそうと決心。大陸へ渡り、豪華な旅と買い物を楽しみ、やがてピレネー山脈の古城のホテルに辿り着いた。夢の旅のはずだったが、独りぼっちで、昔からの孤独感を消してはくれず、また、資金がかなり減ってきていて、旅を終わらせて、英国で書店を開くことを考え始めていた。 そんな矢先にホテルの食堂でボーイに教えられて、自分を熱心に見つめる男の存在を知る。振り向いた彼女を見つめて男は乾杯した。その瞳に浮かぶ所有欲に怯えて、彼女は食堂を飛びだし、部屋に逃げ帰るが、何と、男はボーイを利用して彼女の部屋に入り込んで来たのだった。彼はバミニアのダニオール王子と名乗り、エバンジェリンはセレフィナのエテリンダ王女で自分の許嫁であると言い、彼と結婚して王女としての義務を果たせと迫るのだった。彼女が自分は王女ではなくただの英国人だと訴えるが彼は聞き入れず、実力行使で彼女をものにしようとするが、その矢先に彼女の部屋に爆弾が投げ込まれ、ホテルは火の海に。 バミニアとセレフィナはかつて一つの王国だったが、王と女王の喧嘩により分裂、聖女レオポルダの予言により両国の王子と王女が結婚し、君臨する時国は再び一つになるのだとされていた。その予言を実現すべく、幼い頃にダニオールとエテリンダの婚約はなされたが、やがて大陸を襲った革命とナポレオン戦争の嵐の中、両国の君主達は暗殺され、エテリンダは遠くの尼僧院に匿われることになったがそこから行方不明になり、ダニオールはナポレオンの脅威から国を守らなければならず、直ぐに追うことは出来なかったが、予言の時が迫り、エテリンダ王女の噂を頼りにエバンジェリンの元へやってきたのだった。しかし、両国にはナポレオンの存在に喚起された革命家達がいて、予言の実現を阻止しして王政を終わらせようとしていた。しかも、その革命家達の筆頭のドミニクはダニオールの異母弟だった。 古城から逃げ出した二人は聖女レオポルダの尼僧院へと向かう。その道中エバンジェリンはずっと自分が王女では無いことを訴えるがダニオールは信じようとせず、尼僧院に着くと彼女を閉じこめてしまう。じっとして偽りの運命を受け入れることは出来ないと思った彼女は、尼僧院から脱出するが、ドミニク達革命家の手中に落ちて・・・
またクリスティーナ・ドッドですが、読了しましたので。ヒロインがいきなり現れたヒーローに追っかけられ、迫られ、そこへ爆弾。息も尽かせぬテンポでぐいぐいと読者を引き込んでいきます。 架空の国を舞台にしたヒストリカルというのも時々見受けられます。ジョアンナ・リンゼイでは"Once a Princess"やジュード・デブローの"Maiden"他。比較的英国の摂政時代(リージェンシー)ごろが多いです。 この作品にはスピン・オフがありますが都合上だれが関係しているのかは教えられません! |