by Patricia Rice from TOPAZ BOOK
舞台は19世紀初頭の英国 女を巡る決闘でアメリカ人のギャビン・ローレンスは顔に傷を負い、かつて、その容貌に女性は魅了されたが、今や叫んで逃げ出す始末だった。深く傷つき、彼は人前に出ることを極端に嫌い、必要な時はフードで深く顔を隠すようになった。そんな彼の元に英国のエフィンガム侯爵の地位が巡ってきたのだった。親の代より貴族の家系とは名ばかりの根無し草な暮らしから、やっと逃れられると思った彼は、渡航費用を苦労して稼ぎ、いわく有る生い立ちの弟マイケルと共に遂に領地アリンミードに辿り着くが、爵位に伴う殆ど廃屋の様な屋敷があるだけで、資産を得るだけの土地すら既に他人の手に渡っていた。 1年後、放浪好きのマイケルは近郊に住む先代アングルシー公爵の孫娘、レディ・ブランチをさらってアリンミードに連れてきた。彼女は最近館の火事で顔に酷い火傷を負っていて、失明の危険があった。アングルシー公爵家は今は彼女の従兄ネヴィルが継いでいたが、ネヴィルとその父親が気に入らなかった先代は家門とその領地以外の全ての資産をブランチに譲ることにしていたのだ。現公爵には彼女と結婚するか、彼女が死ぬ以外には財産を手に入れる術が無く、マイケルは彼女の命が狙われているかも知れないと考えたのだった。そして、事が上手く運べば、ギャビンが彼女と結ばれ、必要な財産が手に入ると唆すのだった。 一方、そんな三人を秘かに見ている者がいた。ブランチの付き添い、ディリアンだった。実は彼女はブランチの母方の従姉で、路頭に迷いかけた自分を受け入れてくれた天使のような彼女を懸命に守ろうとしていた。アリンミードにある秘密の通路に潜み、ブランチを見守る彼女だが、何故か、野獣のような侯爵の存在が気に掛かった。 必然的に、ギャビンはディリアンを発見した。マイケルの持ち込んだ厄介事に巻き込まれたくない彼は、ブランチ達を彼女の母親ゆかりの屋敷へ送り出そうと試みるが先発したギャビンとディリアンの前で暴動が起きかける。 しかし、ネヴィルに近付き調査したマイケルはブランチの周囲で起きる事件は、実は彼女を狙ったものではなく、ディリアンが悪名高い軍人の父から譲り受けた何かを狙ったものだろうと言うのだった。 ギャビンは速やかに彼女達から手を引きたがるが、自分のためにこれ以上犠牲を出したくないと、ディリアンは彼の助けを必死に請い、自分の身を差し出すのだったが・・・。
パトリシア・ライスは確か一回目だったと思うのですが・・・、リージェンシー、ウェスタン、スコットランドもの、中世、現代物と色々発表している古参の作家です。作風を色に例えると、ちょっと暗いかな? マイケルのブランチに対する淡い思いはその後どうなったのか?わからないCOMROTでした。誰か知ってたら教えて。 |